『道士郎でござる』のネタバレ感想(見所紹介)西森作品の中ではこれが一番

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『道士郎でござる』は、『今日から俺は!!』『天使な小生意気』で有名な西森博之さんの作品なので面白いのがお墨付きの作品です。

 

実はこの作品は、西森作品の中では、あまり知名度が高いとは言えません。

しかし「侍ジョーク」を基盤にしたコメディ要素

悪い奴らを圧倒的な膂力で成敗してスカッとする中に、成長と、爽やかな恋愛要素もある。全8巻で読みやすい漫画となっています

 

当記事では『道士郎でござる』のネタバレを含めた、感想(見所紹介)をしていきます、最後までよろしくお願いします。

 

 

作品紹介・あらすじ▼

 

アメリカ・ネバダ州の荒野で父親に育てられた高校生・桐柳道士郎は、なぜか本物の武士になっていた!

横十二高に転入するや、強敵とは勝負してトモとなり、クズは、たとえそれが教師でもヤクザでも退治してしまうハチャメチャぶり。

 

彼に殿と仰がれる事になった、平凡で普通で日和見主義者だった筈の小坂健助は、いつしか道士郎のペースにはまり、正義を貫く為に策を弄し、仲間の為に体を張る!

健助は白瀬エリカを守れるか!?

 

出典:道士郎でござる - Wikipedia

 

作品の概要▼

  • ジャンル:シュールコメディ
  • 作者:西森博之
  • 掲載誌:週刊少年サンデー
  • 巻数:全8巻

 

作者は西森博之「お茶にごす。」「今日から俺は」など、道を歩けなクズに当たるような様式美、シュールコメディを得意とする。

 

登場人物

桐柳 道士郎

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(出典:『道士郎でござる』)

 

アメリカのネバダ州から12年ぶりに帰ってきたサムライ、桐柳道士郎。

日本について勘違いしたまま武士になっていたとんでも武士

 

時代遅れの侍の価値観、正しいわけでもない「一般常識(武士道)」を力ずく(物理)で押し通そうと無茶苦茶する

 

小坂 健助 

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(出典:『道士郎でござる』)

 

基本的に保身傾向で事なかれ主義者だが、周りにトラブルメーカーしかいないので責任者にならざるをえない可哀想な人。

しかし上に立つ者としての器は大きく、最弱の戦闘力ながら圧倒的な人望を持つ。

 

作中屈指の強さの主人公が慕う、道士郎の“殿”主君

 

白瀬エリカ

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(出典:『道士郎でござる』)

 

白髪のヤンキーヒロイン。

口が悪くて、不器用で、でも面倒見が良くて、全編通してかわいい

言動は少々乱暴だが本当は優しい女の子。

近寄りがたい雰囲気だが健助達と関わって以降は若干態度が軟化していく。

 

早乙女 愛

早乙女愛はゴリラのような男

中学時代にヤンキーでイキったらヤンキーに出張ってこられて、ヤクザに土下座をさせられたのが原因で、目を反らさない相手に喧嘩を売るチンピラ小僧になる。

 

ちなみに早乙女愛は偽名で、本名は前島 勇

 

『道士郎でござる』ネタバレ・見所紹介

ネバダ州にて武士として育てられた少年

3歳の時、バカ親父に連れ去られて、アメリカのネバダ州の荒野で育てられた道士郎。

12年ぶりに発見され、日本の母の元に帰ってきたのだが、なぜだか本物の武士になっていて、日本の高校に入学して大暴れしていく。

 

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(出典:『道士郎でござる』)

 

現代日本で武士道を貫き通す道士郎

ヤンキー漫画が得意な西森博之センセ作だけど主人公はヤンキーじゃなくて『武士』

 

ネバダのネイティブアメリカンの中で武士道を勘違いして育った無敵サムライ(17)が、普通の高校に入り、頑として武士道を曲げぬ(空気を読まぬ)行動をしていく

日本を支配するこの空気と価値観を問う世直し人間賛歌コメディー。

 

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(出典:『道士郎でござる』)

 

テーマは「美」ではなく「男らしさ」や「武士道」や「優しさ」にあり、ヤンキーどもと悪人で苦悶の世界をやわらかく象徴し、その上に欠陥のない世界を描いている

 

キャラの成長は笑えて暑い

西森博之さん作品のいいところは、登場人物が皆成長していくところだと思う

 

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(出典:『道士郎でござる』)

 

「暴力でしか物を解決できないドラえもん、頭の悪くないのび太、喧嘩の弱いジャイアン、人間嫌いのしずかちゃん、薄めたスネ夫みたいな仲間たち」

道士郎という微妙に歪んで真っ直ぐな男によって変化していく風景が楽しい。

 

レベルが上がるとかそういうもんでなく、強くなるわけでもなく、脇役と思えた人達が、誰から影響されて、人として何かが良い方に変わってくのをじっくり描いてて、見てて大変エモいく「惑星のさみだれ」に近い高揚感がり、とても少年漫画的

 

シュールギャグ 

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(出典:『道士郎でござる』)

 

成長漫画として読んでも面白いが、サムライ姿の道士郎が現代日本で武士道を力ずくで押し通そうと無茶苦茶するのを健助たちが苦労するギャグ漫画 

 

キャラが良くてギャグが面白くて適度に肩の力抜けて物語の山場もあって色々詰まっている「丁度いい漫画」なんだと思う

 

 

『道士郎でござる』打ち切りなのか?

不良高校編の盛り上がりが凄かっただけに、打ち切りではないが最後の方はやや駆け足な印象を受ける幕引きだが、中だるみもマンネリ化もなく、巧くまとまっていて好き

巻数も手ごろなので、逆に短いので人にすすめやすいですし。

 

最後の展開はきっと胸が熱くなるはず

 

能力がある漫画家さんは駆け足気味で物語を畳んでも、綺麗にお話を閉めていて凄い。

 

所感:道士郎でござる

読んでいて分かるこの作品の本当に主人公は道士郎ってより健助だったんだと

今までの西森作品の中で登場時の弱さはダントツだったのに最後には相当強い男になってて、だからこの作品が一番好き。僕も武士になるぞ!

 

西森博之の他の作品

最後に西森博之の最新の短編を紹介して終わります。

 

西森博之短編集

 

デビューから30年のキャリアがある作者の短編 

『今日俺』雰囲気のヤンキー物に、『天こな』以後の勧善懲悪なスタイルまで、作風の変異が感じ取れて興味深い作品です。『道士郎でござる』と合わせて読んでみて下さい