最強の伏線漫画『スピリットサークル』感想・見所紹介
最強のストーリー構成・伏線を兼ね備えた『スピリットサークル』
「惑星のさみだれ」「戦国妖狐」を手掛けた水上悟志の最高傑作だと個人的に思っていて読者の期待を間違いなく超えてくる作品となっています。
大げさではなく「火の鳥」に匹敵するテーマ性(輪廻・転生・人生)と深み・重みを持っている『スピリットサークル』のあらすじ・登場人物・見所を僕の感想を添えてご紹介していきます。未読の方はネタバレにご注意ください。
『スピリットサークル』の情報▼
まずは概要・あらすじについて紹介していきます。
作品の概要について▼
あらすじ▼
中学2年生の桶屋 風太のクラスに転入生がやってきた。
霊が視える風太は、転入生・石神 鉱子にイーストという背後霊が憑いていることに気づく。
風太はイーストに話しかけないようにしていたが、その日の放課後、鉱子と別れる際にイーストに話しかけられ、つい返事をしてしまう。
風太にイーストが視えていることに気づいた鉱子はそれまでと態度を一変、スピリットサークルで風太を殴りつけ、過去生を視させる。
中学生の風太は、ある日転校してきた鉱子に一目惚れする。
少女は、主人公との間に7つの過去生で殺しあった因縁があったといい主人公への敵意を剥き出しにする。主人公は過去生を視ながら、その因縁の中へ巻き込まれて行く…
自身の前世を視ることができる道具が「スピリットサークル」です。
『スピリットサークル』の登場人物
しがらみを抱えた登場人物たち
桶屋 風太
霊を見ることができる以外は普通の中学生の男の子の風太
平凡な毎日を過ごす彼の元に、ある日転校生石神鉱子がやってくる。
彼女と仲良くなれるかと思いきや、石神鉱子に謎の武器?
スピリットサークルでブン殴られて自分の前世を垣間見る事になる。
石神鉱子との因果とは。過去を知り未来を知り現在を知る。
7回分の自分の前世を見ながら彼女との因縁に決着をつけにいく。
石神 鉱子
水上作品の個人的最強ヒロイン
額に大きな傷があるのに凄く可愛い、そして気高い魂の持ち主
七つの過去生で風太と因縁があり殺す意志を固めている。
スピリットサークルを持ち、最初風太を襲った際にこれで殴って過去生を思い出させた
イースト
石神鉱子の背後に漂う背後霊、背が高く美男子。
鉱子とは違い桶屋風太とも気安く接する。
ルン
桶屋風太の前に突如現れた幽霊(1巻の表紙の子)
薄いピンクの髪をツインテールにした少女で、快活な性格をしている。
輪廻転生の傑作『スピリットサークル』の見所
見所をご紹介していきます。
異様に惹かれる導入部
転入したきた美少女から「あんたはあと7回死んでもらうわよ」と告げられる。
少女との間になにがあるのか、少年の現在・過去・未来へ…という導入で始まる。
転生を繰り返しひたすら憎み合って殺し合ってきた少年少女が、7回目で現代に生まれる。転生によっては主人公が奴隷だったり、天才魔導師だったり、剣士だったり…
たった一人の女の子との憎しみの連鎖を断ち切るために、何度も生まれ変わって来た過去の自分の人生を追体験して謎を追う
呪われた男女7人の人生を追体験できる。
輪廻転生が題材という事で前世の話が描かれているが、どちらかが欠ける事なく現代も過去も非常に魅力的に描かれており、日常と非日常、重い話への導入が非常に上手い。
思春期の男子の成長とそれに伴う熱量
過去生に翻弄されながらも成長していく姿が胸を打つ
輪廻転生により魂が磨かれる…
一人生でも、人は出逢いと別れの縁により成長する。
そして人は得た経験・想いを次に継げれる。
「惑星のさみだれも」伏線漫画として名高いが、魅力的な大人を見て成長する子供を描いており、人の老いと子供の成長の書き方に関してはやっぱ水上悟志先生凄い。
高い漫画力、構成力本当化け物…伏線の鬼
何よりも「漫画」が上手い
一目惚れした少女は六度の前世で憎み合い殺しあう運命にあった!
その前世の因縁を解いていくのだが、過去生がどれも短編として面白く、それらをまとめ上げ一つの話になった時また面白い!漫画界随一の構成力。
主人公が古代文明から未来に至るまでの輪廻転生を追体験する中で、周辺人物との時空を越えた絆と、自らの魂の背負っている業、そしてヒロインとの因縁が明らかにする
前世が過去や現在の別の世界線、未来だったりとばらばらな前世を追いかけているうちに衝撃の事実にたどり着く。これを少ない巻数で無駄なく終えているのが凄い
構成と取捨選択が上手く、2人×7回の過去生に現生も描いて6巻で終わる。
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手塚先生の火の鳥を彷彿とさせる
火の鳥の様に魂の輪廻を考えさせられる
乱暴にまとめると、同一人物がキャラを変えて登場するところは『クラウドアトラス』(映画版)を、移り変わる時代、生まれ変わり、人の縁など、人間の性(さが)をテーマにしているところは手塚治虫『火の鳥』を彷彿とさせる。
今、自分と深く関わっている人達も、いつか、どこかで出会っているのかも知れない…そんな風に思いを馳せてしまう。
あとがき▼
話を広げずに、積み上げていくっていう物語の組み方があまりにも美し過ぎて死ぬ
掲載誌?見た目?の地味さのせいでそれほどだけど、もっと売れていい面白さがあると思うので是非読んでみて下さい。6巻と巻数も手ごろです。
結末で一気に物語が収束していくカタルシス・伏線が唯一無二なので、読んで是非この高揚感を味わって下さい。
最後までご覧いただきありがとうございました。