こちらは「ゴールデンゴールド」の感想と見所紹介の記事です。
閉鎖的な田舎特有の不信感や空気感を漫画に巧く組み込んだ作品は妙に引き込まれるものがあります。
今回紹介する「ゴールデンゴールド」も田舎を舞台とし、田舎の町が得体の知れないものに浸食されていき、気付かない間に足元から崩れていくような“不快感”が得られるような作品です。
サスペンス好きは勿論、漫画で“ゾクゾク”感を味わいたい方にとっても、とてもおススメの作品となっています。
「ゴールデンゴールド」とは
作者は連載デビュー作『刻刻』で一躍注目を集めた堀尾省太さん。
『ゴールデンゴールド』はマンガ大賞に2017年、18年、19年と3年連続でノミネートされた作品となっています。
「ゴールデンゴールド」のあらすじと見所☑
唯一無二のサスペンスホラーで、ホラーともサスペンスとも言えない不穏な空気と言い知れぬ恐怖感がクセになる漫画です。
「ゴールデンゴールド」のあらすじ
広島の離島で「フクノカミ」と思しき木彫を中学生の女の子が拾ったことからその家の商売が繁盛して、閉じた島の中「フクノカミ」と「人間の欲」によって離島を支配していくお話。
冒頭から惹き付けられ、巻が進むにつれて作品独特の世界観いどんどんハマっていきます。現在6巻(2020年3月時点)と巻数もそれほど出ていないので、今からでも十分追いかけていけると思います。
「ゴールデンゴールド」注目の見所!
「ゴールデンゴールド」には注目してほしい見所が沢山あります。
①閉鎖的な田舎が舞台
閉鎖的な島に「フクノカミ」を連れ込んでしまったために、町が得体の知れないものによって浸食されていく様が面白く、フクノカミによって良い事が起きてるはずなのに、不気味さが漂っている空気感がたまらん。
徐々に人が金欲に溺れて人でなくなり、その変化に誰も気がつかない…
「フクノカミ」という異形のファンタジックな存在を出しながら、非常に細かい田舎の人間関係も描き続けている、どこの田舎でもありそうなサスペンスホラー
空気感が非常に恐ろしく、普通のシーンなのに違和感に包まれる。
②「フクノカミ」のビジュアル
三面怪人ダダのような全く話し合いが期待できなさそうな、「フクノカミ」の圧倒的ビジュアルが一度見たら頭から離れない。
フクノカミがキモ可愛いという評価も聞くが…キモ怖い…
進むにつれて、キモ怖いフクノカミの不気味さがいっそう強くなっていき、少女の細やかな願いに執着する「福の神」が、彼女の家族を含む島中の人達をたらしこみ、洗脳して、やがて血祭りを予感させる程にかき混ぜていく。
③先が気になる伏線
世界観とか伏線とか構成力とか、堀尾先生の本領発揮。
締め上げるような日常の緊張感や一枚岩ではない人間側の思惑など、伏線張りも伏線回収も毎巻行いながら着実に進んでいく物語はとても読み応えがあって面白い。
どこまで広がるかわからない風呂敷は、今後どうやって畳まれていくのか。
作者の能力が高い事は前作の「刻刻」を見ても明らかなので、もういろいろ緻密すぎて安心感が凄い、キャラクターもそれぞれ思考して動いてるので、先が気になる作品。
あとがき▼
フクノカミの力によって欲に呑まれていく人々とそれに抗う少女
気づかないうちに当たり前じゃなかった事が当たり前になっている事の恐怖感、それを緻密な絵とストーリーでリアルに仕上げています。
ありえない話をさもありそうに描く。それが堀尾先生の魅力なのかもしれません。
漫画好きには是非とも読んでいただきたい作品です。