ストーリーが面白いのは当然として、多くの伏線をカタルシスを与えながら綺麗に回収する作品に「惑星のさみだれ」という漫画があるのをご存知でしょうか?
伏線が秀逸な漫画はこちら▼
「惑星のさみだれ」は、伏線が秀逸な漫画として評価の高い作品ですが、主人公含めたキャラの成長や、エピローグも含めて、最終巻に向かってきちっと綴じて行く物語や作者のメッセージ性がとても魅力的な作品になっていると思います。
そこで、当記事では「惑星のさみだれ」のあらすじ、見所をご紹介していくので最後までお付き合い下さい。
「惑星のさみだれ」とは
「惑星のさみだれ」 水上悟志がヤングキングアワーズで連載していた漫画です。
単行本は全10巻、これだけ知名度も人気もあるが不思議なことに、連載された時期の悪さか、作者の意図による物なのかアニメ化はされていない。今後に期待。
作者:水上悟志さん
水上悟志先生が「惑星のさみだれ」を連載し始めたのが25歳の時と知り、少し驚きました、さみだれ以降も素晴らしい作品を世に出しているので一部ご紹介
『スピリットサークル』
『前世』に関係があると知った主人公が“スピリットサークル”と呼ばれる過去生を見ることのできる道具を使い、7回分の自分の前世を見ながら彼女との因縁に決着をつける
輪廻の中で何度も出会い、別れ、生まれ、死に、憎しみあい、愛しあい、殺しあい、結ばれ、そんな前世の人生をいくつも体験し、戦うことになる主人公とヒロインのお話
主人公の過去7回の人生はさまざまな時代な為どれも面白く、いくつもの過去生が絡みあってるので、伏線や世界の構造やらで何度もはッとさせられる
全6巻でボリュームというか、重みが半端じゃない。
この作品に関しては、読み終わってからしばらく放心してしまった。
本当に凄い作品のなので是非読んでみて下さい。
『水上悟志短編集「放浪世界」』
あらすじ☑
少年の頃、世界の全てだった団地…でもそこは…!!?出口も入口もない虚無の旅…その先に待つ衝撃の真実とは…。
作者の世界観に持っていかれる短編集、半分近くを占める「虚無をゆく」が特に強烈。
冒頭に現れる、巨大な絵で圧倒的なSFの世界観に幸せを感じることができる。
宇宙、メカ、家族、シンギュラリティ、そして心のありよう。
多くのテーマを内包しつつ一つの物語として完結していて極上の満足度
「惑星のさみだれ」のあらすじと見所紹介
「惑星のさみだれ」のあらすじを簡単に説明していきます
あらすじ☑
大まかなあらすじは、地球を砕こうとする悪い魔法使いと、それを防いで実は自らの手で地球を砕こうとする姫と、地球を守るため姫と共に戦う騎士たちを描いた物語となっています。
「惑星のさみだれ」の見所▼
①少年漫画が好きな大人のための少年漫画
地球を砕こうとする魔法使いと、それを阻止せんとする姫、獣の騎士団。
そして地球を砕こうとする魔王と魔王の騎士、この複雑な三つ巴の戦いを描いた作品。
最初の契約の際に願い事を1つ叶えれる斬新な設定と、願い事の内容によっては自分に代償が返ってくる所もこの作品の大きな見所なっています。
成長する主人公、底の知れないヒロイン、小学生から42歳無職まで個性豊かな仲間たち、テーマは、大人。正義の味方にあり、青年漫画ですが骨格は大人の少年漫画。
②ヒロインの目的
この漫画が凄いのは、本来守るべき立場であるヒロインの目的が、悪の魔法使いを倒して地球を救うことではなくて、味方に黙って地球を破壊する計画を目論んでいるという点がとても良い。
そんなヒロインに崩壊家庭(刑事の父が同僚に殺され母が失踪、狂った祖父から虐待を受けてる)で育った主人公が心酔し行動を共にする所から物語が始まる。
主人公とヒロインには建前と本音があって、本音の部分がこの作品の骨となっている
③大人に成長していく過程が熱い
「大人とは」「子供とは」「成長とは」というテーマが一貫して感じられる作品。
大人がしっかりカッコよくて、子供達がその背中を見ながら成長していく
最初は斜に構えていた夕日が、少しずつ成長し、いつしか「自分より年下の少年」が見据える背中になっていくのは、何度読み返しても熱くなる。
「子供」から「大人」への成長譚としてこれ以上の作品を未だに知らない。
大人のあり方。出会いと別れ。受け継ぎ、真似して成長、大人になっていく子供達。
こうありたいなって思わせる、作中の大人像が印象が何より残る漫画
④大団円のラスト
ラストページの演出は反則的。
クソ丁寧に張られた伏線をガシガシ回収しながら燃え燃えのクライマックスに突入。
地球をぶっ壊したい女の子とその女の子に尽くそうとする青年とその他複数の歪みきった人間たちが絡み合っているのに何故か感動のラストを迎える
魔王を倒し、仲間を倒し、姫を倒し、最後にライバルに敗れ、それでなお大団円を迎えるという一連の流れは半端ない、惑星を砕く魔法使いとのラストバトルは泣いちゃう。
④獣の騎士団がダサい
地球滅亡を目論む魔法使いの「泥人形」を防ぐべく立ち向かう12人の念動力使い「獣の騎士団」、12匹いるが、十二支じゃなくて、犬、トカゲ、カマキリ、鶏など、ブレーメンの音楽隊もビックリの人選、ちなみにカジキマグロの騎士もいる。
あとがき▼
成長する主人公、魅力的なヒロイン、主人公を導くキャラのかっこよさ、渋いおっさんキャラ、わかりやすい結末、程よい長さと全て揃った最高の少年漫画となっています。
作品の出来に対して知名度が低すぎると感じる漫画の一つ。
序盤の厨二展開さえ乗り切れれば熱い物語を楽しめるので、是非読んでみて下さい。