九井諒子さんという漫画家さんをご存知でしょうか?
映像化していないこともあり(ダンジョン飯はアニメ化が決まりましたが…)、漫画好きの間では有名でも、それ以外の知名度は高くない印象です。
そこで当記事ではそんな方の為に「九井諒子」の魅力を少しでも伝えるため、九井作品をご紹介していきます。
唯一無二の発想力を持つ九井諒子
九井諒子さんは、漫画家としてデビューする前は元々同人誌やWebで活動されていたことでも知られています。その後2011年に初の単行本の発売してから多くの読者を魅了しています。
「九井諒子ワールド」とも呼ばれる不思議センスと日常の中にファンタジーーが組み込まれている独特の世界観とそれを可能にする多彩な知識と見識に、物語に触れれば途端に作者の魅力に取りつかれてしまいます。
九井諒子を存分に味わえる3つの短編
九井諒子先生の短編集たち、どれもこれも作者の魅力を短編に押し込め、ファンタジー世界と日常世界が当たり前のように合わさってる世界観、どれも品がある秀作揃いです
竜の学校は山の上
あらすじ✅
勇者は孤独な里帰り、女子中学生の天使は進学に悩み、ケンタウロスは馬車馬のように働く、今日も大学の上空には竜が飛ぶ……あたりまえのように、そこにある非日常。
7つの短編からなる竜が存在する唯一の竜専門学科がある国立大の現代日本が舞台
昔は移動手段や農耕に使われていた竜種が、労働力の機械化によって静かに絶滅に追いやられている中で竜を大学生が食用やら日本一周やら試す生活を送るってテーマが最高
魅力的な絵柄とファンタジーと日常が同居した世界に引き込まれ、どの短編にもワンダーが詰まってる。中でも『現代神話』や『進学天使』表題作である『竜の学校は山の上』あたりが個人的にツボ。たまらなく好き
明るい話ばかりではないのに綺麗にまとまっていて読後がなんともいえず爽やか。
竜のかわいい七つの子
あらすじ✅
竜と人、人魚と野球少年、神様と小学生――笑いあり、涙あり、きっとあなたが忘れていた、親と子の絆を思い出す7つ物語
前作同様、竜や人魚、人狼や神といった存在が現実に存在していたら?
という非日常を日常感たっぷりに描いた7つの短編集。
竜、狼男、ミノタウロス、神様、人魚、超能力、笑いあり、涙あり、青春あり、人情あり、絆あり、恋愛ありの何でもござれ。
人魚や狼連作のような、現実にありそうなテーマをうまく置き換え、全体的に何かしら親子関係が描かれている。清涼感の塊みたいな一冊。
九井諒子さんの作品は、舞台が現代の日本であっても、架空の場所であっても、ファンタジーの存在を現実的なアプローチで作品に調和させる 。本当にすごい
ひきだしにテラリウム
「ひきだしにテラリウム」は文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞した作品
冒頭でグンと引き寄せられて唐突に不時着して終える良い意味で“テキトー”な短編の連続コンボ。展開よりも勢いと多種多様な入り口とオチが秀逸な漫画
最初「???」の連続だったけど、驚異的な技巧で描き出された多層的なショートショートの楽しさ、声出して笑う所有り、拍手を送りたくなる程見事なオチ有りであっという間に読了。面白さと同時に、漫画表現の奥深さも思い知らされる一品
読むたびに好きだと感じる作品が変わりそうで、本棚にしまって何度も読み返したい33編ものお話が収録された作品
画面、構成、切り口、ユーモアセンス。どこをとっても超一流。
九井諒子の才能はこの漫画にあります。
九井諒子初の連載作品
読み切り短編を描かサたら右に出る者はいない九井諒子の才能は、現在初連載中のダンジョン飯でもいかんなく発揮されています。
ダンジョン飯:2014年連載中
あらすじ✅
ダンジョンの奥深くでドラゴンに襲われ、金と食料を失ってしまった冒険者・ライオス一行。
再びダンジョンに挑もうにも、このまま行けば、途中で飢え死にしてしまう……。
そこでライオスは決意する「そうだ、モンスターを食べよう!」スライム、バジリスク、ミミック、そしてドラゴン!!
襲い来る凶暴なモンスターを食べながら、ダンジョンの踏破を目指せ!
最深部でドラゴンに食われた妹を救い出すため、主人公達はダンジョンを攻略しようと奮闘する…。
が、お金が無く食料も買えなくて困っていたところ主人公が「モンスターを食べよう」と言い出したところから、このダンジョン飯という物語は始まる
- ダンジョンを冒険しながらモンスターを倒し、調理し、食べながら踏破する!
- 魔物を煮たり焼いたり食べたりするRPG料理本!
並みの漫画家なら安易にギャグ漫画にしてしまいそうな題材を魅力あるファンタジーへと昇華させている所に作者さんのRPG熱が伝わってくる作品ではある。
「鎧」に寄生する生物や、竜害意を探知すると警告する剣の仕組みはマジで秀逸。
モンスターを食材にしながら冒険ってのもそうだけど、作者が古き良きダンジョンRPGの何たるかを完璧に把握してて、尚且つ豊かな想像力でダンジョンやモンスターの設定を細かく作品に組み込んでいてオタク心を完璧に理解している。
RPGゲームやファンタジーなどの既視感ある世界観を持って来ているのに、作者独自の考察をもとにしたオリジナルのきちんとした下地があり、ファンタジーRPG的世界観にモンスター(亜人)の生態に対する作者独自の考察も交え物語の根幹にも絡んできて、巻が進むごとに更に面白いことになってる。
2020年5月現在で9巻と今なら追いやすいですよ。
詳しくは下記記事をご覧ください▼
まとめ▼
九井諒子の作品をざっと紹介してみました。
九井諒子さんは短編から読んだけど、長編もこんなに盛り上げつつ伏線もきっちり回収してどのキャラも魅力的に描けるんだと感服する。
どの作品もオススメですが作者のミリ欲が最も伝わる作品は「ひきだしにテラリウム」だと思います。未読の方は是非一度手に取ってみて下さい。お願いします。