「惡の華」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」などトラウマ系黒歴史えぐり返し漫画で有名な押見修造さん新作漫画として注目を集める「血の轍」という作品、毒親を主題に作品全体の違和感と不快感、物凄い気持ち悪い読後感が味わえる漫画です(良い意味で)この記事を読めば、あらすじや登場人物・見所を十分理解できる内容となっているので、是非最後までご覧ください。
「血の轍」とは
まずは「血の轍」の設定やあらすじ・概要について紹介していきます。
- 作者 押見修造
- 掲載誌 ビッグコミックスペリオール
- 巻数 既刊15巻(2023年1月30日現在)
「血の轍」はこんなお話だよ
母・静子からたっぷりの愛情を注がれ、平穏な日常を送る中学二年生の長部静一。しかし、ある夏の日、その穏やかな家庭は激変する。母・静子によって。狂瀾の奈落へと!
過保護な母親と息子の話のはずなのに、もはや哲学でホラーでアート。可愛らしさも相まって絶妙な空気感、毎巻なんと呼んでいいのかわからない不気味で永遠に居心地の悪い感情にしてくれる漫画になっている。
『血の轍』の見所3選(ネタバレ含む)
ここでは「血の轍」魅力を厳選してご紹介します。
予想通り押見修造作品らしい気持ち悪い屈折ぶり。
過保護、マザコン、虐待、などがメインテーマなのだけれどそこに性とか吃音とか作者の押見修造自身のサブテーマも入れ込んできている。まさに彼の集大成的な作品。
そして作者の画力の上達が半端じゃないので余計火力が上がっている。思春期特有の複雑だけど、皆が必ず通るであろう世界観を表現させたら右に出る者はいない押見先生の作品だけあってすげぇ
読後の不快感がやばすぎてもう少し元気な時に読めばよかったと後悔する。ほんと心の奥底のトラウマをじわ~っとさせる何かがあり、読んでるだけで息苦しくなる。
どの漫画のラスボスよりも怖い母親の静子
作中で「いとこ」から『過保護だ』と初めて言われて、ようやく主人公が自分の環境の違和感に気づく。恐らく母親の方は本音を捨てたことすら忘れて化け物になってしまってる。この静かなホラー感がゾクゾクする。
こんなにも人を不快感を与えられる漫画であることに逆に感動を覚え、いわゆる毒親によって息子がジリジリ洗脳されていくのをゆっくり見ていくのは辛いし好きな女の子から貰ったラブレターを親と一緒に破るシーンは酷すぎて耐えられない、毒親のパターンは 「自分より子が幸せになるのを許さない」「育児放棄」 「直接的な暴力、暴言 ・徹底的な支配」「過干渉」「価値観の押し付け」「気分により支離滅裂な言動をとる」等が挙げられると思うが静子はほぼ網羅してる。
何が怖いって押見先生が長部静子のような毒親をここまで完璧に描写してるって事。
徹底的な描写、精通まで描く
徹底的に容赦なく母と息子の歪な関係性を描く、ナレーションや登場人物の心理描写が一切ないため、他者のリアルな営みを覗き見しているかのような生々しさがある。
思春期の鬱積にフォーカスを当ててると思いきや、表情や背景に線を連ねるだけで焦燥や被支配を寓意させる。精液、血、雨、イメージの系列が心地いい。
▼『空が灰色だから』感想と印象的なエピソード紹介!思春期のもやもやした“灰色”な鬱描写。 - nounashi.manga
精通シーン(36話)何度見てもヤバい衝撃的
同級生と懇ろになってキスで精通した息子のパンツを保管して持ち出し「きったない」って汚れたパンツ頭の上に落とす母親、支配と被支配が転覆するような共依存的な相関にシフトしていく展開は打ち震える。精液、雨、血。精通にここまで熱を注ぐ漫画あるかな。息詰まるような母と主人公のやりとり、記憶の修正が怖すぎる。
画力の表情のみで訴えてくる
正面顔のアップは平凡な構図なので多用してはいけないとされているが、多くの無言のカットで心情を表現する画力の高さで息の詰まる関係を効果的に演出している。
台詞回しは多くないのに、母親の表情が歪む瞬間の描写や、精神の動きが目や表情に如実に現れるところが本当に秀逸。内容も恐ろしいけど、絵を見てるだけで怖くなる。 屈折しまくった息子への愛情が、細かな表情の描写で伝わってくる。
【インタビュー】押見修造『血の轍』 圧倒的画力で描かれる、”衝撃のヤバい母親”マンガ。そのなかには実体験も……!? | このマンガがすごい!WEB
吃音をテーマにした「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」も傑作ですよ
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。「血の轍」を紹介しました。この漫画は強烈なパワーあります。不快感に耐えられるようなら読んでみて下さい体調の良い日に読むことをおすすめします。実写できたらめちゃくちゃ面白そうだよなこれ。