感想/内容紹介『天を射る』 “通し矢”をテーマにした青春ストーリー漫画

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“通し矢”がテーマ『天を射る』あらすじ・感想、見所紹介

江戸時代に行われた三十三間堂の「通し矢」をテーマにした新作漫画として注目を浴びる『天を射る』、迫力あるタッチと、考証と監修に基づいた描写により、読み応えのある作品になっているので、この作品の魅力をご紹介していきます。

このページを読めば『天を射る』のあらすじや、登場人物、見所を十分理解できる内容となっているので、是非最後までご覧ください。

 

合わせてどうぞ

 

 

江戸の弓術を描く『天を射る』

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まずは 『天を射る』の概要やあらすじをご紹介していきます。

 

作品の概要について▼

  • 作者:西荻 弓絵・飛松良輔
  • 掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
  • 巻数:全6巻

脚本を手がけるのは、『ケイゾク』『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』で有名な西荻弓絵さんです。

こちらのリンクから作者の『天を射る』に関するインタビューが載っているので、興味があれば読んでみて下さい▼

江戸のオリンピック? ビッグコミックスピリッツ話題の新連載『天を射る』の作者に会ってきた! - いまトピ

 

「天を射る」はこんなお話

あらすじ▼

主人公の勘左(星野勘左衛門:ほしのかんざえもん)は尾張藩貧乏武士の三男坊。長兄・次兄に比べて取り柄のない勘左は、「堂射で天下一を成し遂げれば立身出世も思いのまま」と言われても、「自分の夢」とは無縁だと思っていた。ある日、「運命の出会い」が起こるまでは…

「天を射る」は江戸時代には"江戸のオリンピック"とも呼ぶべき人気競技だった「通し矢」堂射と呼ばれるその競技で、天下一を目指す若者の弓道×青春ストーリーになっています。

 

『天を射る』の熱い物語を彩る登場人物たち

『天を射る』には、 実在の人物をモデルとした、爽快感に溢れ、力強く伸びやかなタッチで描かれたキャラが登場するので、そんな彼らを一部ご紹介したします。

 

星野勘左衛門(ほしの・かんざえもん)

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(出典:天を射る)

尾張国の貧乏武士の三男坊・星野勘左衛門が主人公。

家計を助けるために毎日百姓仕事(日雇い労働)に出ていましたが、つまらない飽き飽きして、一生を賭ける夢(通し矢で日本一・新記録達成)を見つけてそれに挑戦するという、青年誌には珍しいくらいのストレートなキャラクター。

特筆したものはあまりないが、集中力があり、風の流れが見えるという感覚の持ち主。

※実在した三十三間堂通し矢で大記録を打ち立てた尾州竹林の藩士・星野勘左衛門がモデル。

 

高見大ノ新(たかみ・だいのしん)

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(出典:天を射る)

下級武士の子息で、星野勘左衛門の親友(できる相棒)

ぶっきらぼうで怠慢な面倒くさがり屋な一面もあるが、友達想いで野心家なキャラ、家計を助けるために毎日百姓仕事(日雇い労働)に出ていましたが、「男なら一度は自分の夢に命を懸けてみたいと思うはずだ!」と奮起し、勘左と二人して弓で日本一を本気で目指し、毎日矢を射る練習に明け暮れていきます。

 

 『天を射る』の見所3選

『天を射る』には、通し矢を題材とした弓道漫画というという点以外にも、様々な見所があります。その中でも注目すべき見所を厳選してご紹介します。

 

「通し矢」江戸時代には"江戸のオリンピック"とも呼ぶべき人気競技

この作品の題材は「通し矢」、江戸時代に浮世絵のテーマになるほどに人々が熱狂し、藩と藩の面子を懸けた“江戸のオリンピック”とも呼ぶべき人気競技。 京都は蓮華王院三十三間堂において120m先の的を一昼夜で何回射抜けるかを競う。

戦のなくなった江戸時代において、それを達成した者の所属する藩が力を示せる。今で言うオリンピックのような位置づけの京都の伝統的な行事でした。

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通し矢(とおしや)とは弓術の一種目。

 堂射(どうしゃ)、堂前(どうまえ)などともいう。京都蓮華王院(三十三間堂)の本堂西側の軒下(長さ約121m)を南から北に矢を射通す競技である。いくつかの種目があったが、一昼夜に南端から北端に射通した矢の数を競う「大矢数」が有名である。

 

オリンピックのアーチェリーは
  • 男子は90m、70m、50m、30m
  • 女子は70m、60m、50m、30m

なので…通し矢の120mがどれほどの距離かよくわかる。

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(出典:天を射る)

 

熱い時代劇スポ根もの

この作品はまずは「熱い」「面白い!」「泣ける」と伝えたい、それでいて弓道漫画で時代物と珍しい、興味深い題材激アツでワクワクさせられる、紛れもない本格青春スポーツ漫画一直線ド直球な青春モノ

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(出典:天を射る)

つまらない毎日にくすぶっていた少年たちが、一生を賭ける夢(通し矢で日本一)を見つけてそれに挑戦するという、青年誌とは思えないストレートな王道ストーリー、求道の修練と精神、野生の理と天性、青春の熱情と人情の物語です

 

原作・作画二人とも弓道の経験者、画の迫力が凄い。 

脚本はSPECの西荻弓絵、作画はラグビー漫画「ブルタックル」の飛松良輔。

SPECの脚本家が原作ということで話の展開は抜群、何より原作者と作画とも弓道経験者ということで、弓道経験からの臨場感が注ぐ、迫力あるタッチと、考証と監修に基づいた描写により、読み応えのある奥深い作品に仕上がっています。

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(出典:天を射る)

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(出典:天を射る)

何より注目したいのはキャラクターたちの表情、集中するシーンでの迫力は圧巻

丁寧に書き込まれた絵から弓道への愛をビシビシ感じ、経験のない者が読んでも、弓術に必要な人間の骨格、筋肉の鍛え、キャラクターたちの表情、弓術特有の集中するシーンは迫力満点で緻密に描かれているのが分かります。

 

6巻で堂々完結

最後までご覧いただきありがとうございます。『天を射る』 を紹介しました、「通し矢」というマイナーな題材ながら、画力も高く、スポ根好きにはたまらない展開の作品となっているので、是非読んでみて下さい。