今まで見てきた面白かった漫画のトップ10に入る『G戦場ヘヴンズドア』
今の漫画にはない圧倒的な熱量を誇る作品です。
今回はそんな『G戦場ヘヴンズドア』についてたっぷりご紹介していきます。
漫画『G戦場ヘヴンズドア』の作品情報▼
作品タイトル
G戦場ヘヴンズドア
タイトルから何から全てスゲー。
タイトルの「G」は、漫画の画材としてよく使われるGペンから。
「戦場」は「線上」と掛詞になっている。
「漫画の世界という戦場でGペンの線を走らせる中で、数少ない人間だけがその向こう側にたどり着ける境地=『ヘヴンズドア』」という意味である。
巻数・掲載誌
『月刊IKKI』にて2000年11月~2003年6月まで連載。全18話。単行本は全3巻
作者
日本橋ヨヲコ
代表作品『プラスチック解体高校』・『少女ファイト』
日本橋先生の作品は、胸に突き刺さり、時にえぐってくるけど最高に心に響く。
『読む処方箋』で、『少女ファイト』などはたまに無性に読み返したくなる時がある。
主なあらすじ
2つの若い才能の運命的な出会い!
人気マンガ家“坂井大蔵”の息子でありながら、その父を嫌って小説を書く町蔵と、大蔵に憧れてマンガを描く鉄男。
やがて、2人は合作で漫画大賞に応募することに…。
人気漫画家の息子でそれに反発する堺田町蔵と、類まれなる漫画の才能を持つ編集者の息子長谷川鉄男がコンビを組んで漫画家を目指す血と汗と涙のストーリー
みんな命を削って漫画を描いている。
そういう作品です。
G戦場ヘヴンズドア:主な登場人物
堺田町蔵
小説家志望の高校生。人気漫画家である坂井大蔵の実子。
父親に反発して小説家を目指している。
漫画を描くことに没頭し、家を出ていく母を止めなかった父親を恨んでいる。
最初は鉄男くんに気持ちを寄せて読んでいたのに、いつの間にか彼に感情移入してよんでました。弱いからこそ強いんだなって人です。
長谷川鉄男
天才的に漫画が上手いけど、漫画を父親に見せようとするがに否定されモチベーションを失ったというワケありなメカクレ高校生
とある理由により少年ファイト新人漫画大賞の賞金を目当てに、「描きたいものがないのに金のために」漫画を描く。
なおその理由は劇中でとある節目により変化する事となる。
坂井大蔵
人気漫画家で、堺田町蔵の実父。
度重なる連載打ち切りと作品に対して悩みながらも真っ直ぐに進んでいく様に胸を打たれる。鉄男に対してもこの漫画の良心。
阿久田鉄人
少年ファイトの発行人であり編集長も務める人物
阿久田鉄人さんはまさに「悪役」なんだよな。カッコイイ至言。
無自覚、自覚的にせよ、狂気が原動力や行動理念になってしまったキャラ
不器用で一徹で、苦しみ戦い乗り越えて戦い続けているひとの凄みを感じる。
彼は本当に本当のことしか言ってなかったんだ…って思えるのには随分時間がかかった
菅原久美子
鉄男の幼なじみで鉄男に好意を抱いている。
鉄男を傷付ける人に対しては容赦なく、ストレスが溜まると奇行に走る。
『G戦場ヘヴンズドア』の4つの見所(ネタバレ)
『G戦場ヘヴンズドア』には他の漫画にはない魅力がたくさんあります。
そんな中でも特に注目すべきポイントを4つ厳選したのでご紹介していきます。
創作に向き合う志の方に胸が疼く
人気漫画家である父に反発するも、創作の世界から離れられない町蔵と、漫画を描くことだけを心の拠り所としてきた鉄男、正反対の性格をもった2人がクラスメイトの書いた小説を目にし、タッグを組んで漫画の賞を目指す
ありふれた設定だが、違うベクトルで暑苦しいまでの青春を感じる作品。
創作する人の心には大体どこかが刺さる漫画家漫画となっている。
バクマンとは違う漫画家漫画:考察
漫画を題材に「夢を追うこと」という普遍的なテーマを扱った物語ですが、「バクマン」と「G戦場ヘヴンズドア」には大きな違いがあります。
バクマンは「友情」「努力」「勝利」という3つの鉄則に「恋愛」が絡みます。
『バクマン』はジャンプ3大原則にとても忠実な作品なんですよね。
対して『G戦場ヘヴンズドア』は「自分が震える作品が書きたい」といった点に重きを置き、作者も「この作品は夢を叶えられなかった人たちの話」「夢は叶えられなくてもいい」と仰っているのをどこかの記事で目にしました。
あくまで主人公の内面や成長にフォーカスを当てている作品です。
バクマンや吼えろペンのような派手さはないが、静かに熱くキャラを通してすごく鋭角的で内面を抉るセリフを次々にぶつけてくるからこそ、心に残るだと思います。
印象に残る名言
創作をする人の心に訴えかけるような熱いセリフが多く、それに強く影響を受けました
少し紹介します。
堺田町蔵
俺を震えさせてくれるのなら、
この世界で、
一緒に汚れてやる。
この作品は、この台詞が象徴するような2人の『戦友』のお話しです
「人格」
「漫画家に必要なものって、何スか?才能じゃなかったら、何なんスか?本物との差を決定的に分ける一線って、いったい何なんですか!?」
「人格だよ」
物語のクライマックスに向かって、主人公の町蔵が一番大きく変わる一言。
作中一番グエッとなった言葉。
「上映中の私語」
「上映中の私語はすべての作品への冒涜行為だ。
死ね。」
エンドロール後も絶対席を立ってはいけない。
例え何か漏れそうでも…
「お前ん中」
「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」
元ネタは同作者の「少女ファイト」このセリフが一番好きかもしれない。
「それでも来るか、君はこっちに。」
あーあーあー、かわいそうになあ。
気づいちゃったんだよなあ、誰も生き急げなんて言ってくれないことに。
なあ。見ろよこの青い空、白い雲。そして楽しい学園生活。
どれもこれも君の野望を、ゆっくりと爽やかに打ち砕いてくれることだろう。
君にこれから必要なのは絶望と焦燥感。
何も知らずに生きていけたらこんなに楽なことはないのに。
それでも来るか、君はこっちに
3巻とは思えない濃さ
最初読んだとき一、二巻の熱量にアテられ過ぎてインターバルを置きました。
最終巻を読むことができた後は、ああ、こんなにも見事な結末だったんだなあと。
月並みに、漫画家になるのって本当に難しい難しい難しいんだなぁと
ハナから考えてないけれど、今一度それを夢見る世界線を一刀両断
是3冠ですが繊細な心理描写に持っていかれる傑作と印象を残す作品です。
総評: 『G戦場ヘヴンズドア』
書いてきた通り、マンガ描く漫画
クリエイティブな残酷さと熱量がど直球で感じられる作品
「心が疲れてる時に響いて、今に満足できてる時には響きづらい」と評される理由が良く分かる。青臭くて生々しい洗礼された熱量の「アツい」漫画です。
人生で読んだ漫画のトップ10に入る名作だと個人的には思っているので、この機会に是非読んでみて下さい。
>>>ヤバイくらい面白いおすすめ漫画〔ベスト10+130選〕神漫画から隠れた名作まで厳選紹介。
最後までご覧いただきありがとうございました。