傑作嫁姑漫画『かんかん橋をわたって』嫁姑漫画の皮をかぶった努力!勝利!友情!【感想】

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『かんかん橋をわたって』嫁姑漫画の皮をかぶった激熱バトル漫画のあらすじ、感想

表紙からは想像もできない程、ありいえない展開を魅せると各所で話題となった『かんかん橋をわたって』、嫁姑漫画と見せかけて荒唐無稽な冒険活劇で、友情・努力・勝利が揃った「ドラゴンボール」のような作品となっています。

今回は題材からは想像もつかない着地点を見せる『かんかん橋をわたって』のあらすじ・登場人物はもちろん魅力を少しでも多く伝えていきたいと思いますので、是非最後までご覧ください。

 

 

 

題材は「嫁姑問題」『かんかん橋をわたって』について

『かんかん橋をわたって』のあらすじや作品の概要について書いていきます。この作品は設定が壮絶に練りこまれていて展開が読めず、すべてを紹介しきれないので一部をご紹介していきます。

 

『かんかん橋をわたって』の概要▼

  • 原作:草野誼
  • 出版社:ぶんか社
  • 掲載誌:YOU
  • 巻数:全10巻

草野誼さんは「愚者の皮」でも、整形手術に失敗した美女がそれを理由に彼女のもとを去っていった夫へ仕掛ける復讐劇から夫婦の在り方・心の触れ合いに昇華させ、感じたことのない違和感、先が読めない物語を描いていて本当に唯一無二の作品を生み出している。

 

『かんかん橋をわたって』のあらすじ▼

こんなお話▼
住み慣れた「川南(かーなみ)」から、橋ひとつ向こうの「川東(かわっと)」に嫁いだ萌(もえ)は、上品で優しい姑・不二子(ふじこ)に引き目を感じながらも嫁としてなじもうとしていた。

ところが萌の時だけ米がうまく炊けないなど、日々に違和感を感じるうちに、恐ろしいことがわかってくる。町の人が耳打ちした「気をつけたほうがいいわよ。あの人は『おこんじょう』だから」とは?

「かんかん橋をわたって」は、田舎の嫁姑問題を逞しく清々しく乗り越えていくお嫁さんに勇気と気概を感じている導入になっています。

 

『かんかん橋をわたって』の主な登場人物たち(ネタバレあり)

複雑に絡む因縁や思惑、友情・努力・勝利の全てが詰まった嫁姑問題ストーリー 『かんかん橋をわたって』には、少年漫画脳のキャラがたくさん登場します。意味が分からないと思いますがご紹介していきます。

 

渋沢萌

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(出典:かんかん橋をわたって)

渋沢萌は本作の主人公。

エスカレートする姑の「おこんじょう(意地悪)」に恐怖を覚えながら、自分が「嫁姑番付」の4位になっていると知り、知らず知らず街を覆う巨悪と対峙する特殊な能力「おこんじょう」を身につけていく

「今夜決めるしか無いのよ」「皮肉なものね」みたいなセリフを吐き、関節技をつかいこなし、フランスパンで成人男性を殴り倒す。完全なる少年漫画の主人公。

 

渋沢不二子

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(出典:かんかん橋をわたって)

渋沢不二子はもう一人の本作の主人公

宇宙人のような話し合いのできないビジュアルをしている、作中に在って圧倒的存在感を出すヒロインの姑。

主人公に対してあらゆる角度からおこんじょうを仕掛け、通称「川東一のおこんじょう(意地悪)」と呼ばれるレジェンド、主人公を見守る目はとても嬉しそうであり、その目的は謎である。

 

権藤木

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(出典:かんかん橋をわたって)

権藤木はとても少年マンガ的キャラ、主人公と読者双方に異世界のルールを教える解説役、「あなたは4位っ!」という唐突なセリフはこの作品の舵を切る象徴的なセリフ を吐く

 

山背のまむし

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(出典:かんかん橋をわたって)

嘘喰い』とか『ミナミの帝王』でも通用しそうなレベルのとても主婦についてるとは思えない強烈すぎる異名と序盤のボス的立ち位置、フィジカルが異常に強い点や中盤以降のデレ具合などすべてが面白い

最初は手がつけられなかったけど次第に義侠心を見せ、終盤は山背出身の嫁たちを案ずる良き仲間になり、ひたすら有能キャラとして見せ場をつくるなどキャラ立ち半端ない

去り際のセリフと「ヒヒヒヒ…」という笑い声がポイント高い

 

面白い『かんかん橋をわたって』の見所3選(若干のネタバレ含む)

「え、これジャンプで連載してた?」って感じの熱いストーリー展開を繰り広げる『橋をわたって』には、おすすめした見所がたくさんあります。そんな中でも特に注目してほしいポイントを絞ってご紹介します。

 

嫁姑漫画家と思いきや全く別の方向へ代わる物語

序盤は嫁姑漫画な展開、主人公が姑からの嫌がらせに気づくところから始まる嫁姑の家庭内ドロドロ物語だと思いきや、物語は180度方向を変え、突然悪に立ち向かう物語に急展開を迎える…

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(出典:かんかん橋をわたって)

「嫁姑」という題材を活かして川によって分断されたそれぞれ特色ある地域性・閉鎖性、「嫁姑番付」と、仲間探しなどのRPGや謎解き要素まで入れ込み、意外性、設定や秀逸な伏線、主人公とライバルとの関係性とそこから生まれるドラマを描き、後半は"嫁姑版ワンピース"、"嫁姑版七つの大罪"、"嫁姑版ハンターハンター" という壮大なスケールの友情物語へと変化し、更には壮大なサスペンスまで出てくる。

ラスボスの業などは少年漫画にはない新鮮な読み味の作品になっていく

 

町内の“嫁姑番付”なる物の存在 

特にこの「嫁姑番付」の設定が秀逸で、意地悪な姑に主人公がいびり倒される展開がひたすら続くのかと思ったら、町内に“嫁姑番付”なる物が存在する事が分かる。

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(出典:かんかん橋をわたって)

嫁姑番付とは「どれだけ姑にイジめられるか」で決まる最悪なランキング(上位ランカーは憧れの対象として描かれている)なんですが、この「嫁姑番付」という言葉がでてきた瞬間、世界観ががらりと変わる無茶苦茶な風習と異様なテンションで革命の物語へと変容していく。

 

読み続けたものだけがたどり着く少年漫画の熱い様式

題材的に嫁と姑が和解とかするのかと思いきや、予想外の方向に話が進む怪作、半分すぎた辺りから展開が本当に凄くて…凄くて…1巻と最終巻を読むとまるで別の漫画…

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(出典:かんかん橋をわたって)

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(出典:かんかん橋をわたって)

最初は敵対関係だった嫁と姑が、バトルを通して”師弟””戦友”になっていく熱い展開、終盤はそろい踏みでの熱いバトル。

手に汗握る展開…驚愕の真相…きっちり全10巻で伏線を回収し爽やかに終わっていく見事な構成と疾走感、そして人生に大事な教訓を教えてくれる壮大なエンドを迎え読後は謎の感動が残る。

嫁姑ものの、ありつつあらゆるジャンルを網羅した最強バトル系レディコミ

 

所感:唯一無二の漫画『かんかん橋をわたって』

ザっと展開や見所を説明しましたが、嫁姑漫画がバトル漫画になると言われても正直意味が分からないと思ので読んでほしい。

嫁姑の本質である「姑も昔は嫁だった問題」にまで踏み込み、壮大すぎる展開にラストのカタルシス。朝ドラ×海外ドラマ×アベンジャーズを凝縮した濃度。少しでも興味があれば読んでみて下さい。