『イノサン』のネタバレ・感想
フランス革命前後に3000人近く執行した処刑人を描いた漫画「イノサン」。
美しい絵と残酷な時代とのギャップがとても惹きつけられる作品です。
この記事では『イノサン』にあらすじと登場人物、見所を感想を交えてご紹介していくので、最後までお付き合い下さい。
作品情報
まずは作品概要とあらすじについて紹介
概要▼
- 作者:坂本眞一
- 掲載サイト:週刊ヤングジャンプ
- 巻数:全9巻
- ジャンル:青年漫画・歴史
あらすじ
舞台は十八世紀フランス、死刑執行人の家系に生まれた青年シャルルが主人公。
のちにルイ十六世やマリー・アントワネットの首を刎ねる男のイノサンの物語。
代々処刑人な一族に産まれて苦しみ抵抗する
少年期から成長するまでを描いているストーリー。
息が詰まる蔵ダークだけど美麗な絵に魅せられる漫画になっています。
実在した『イノサン』の登場人物
次に登場人物を紹介紹介していきます。
シャルル=アンリ・サンソン
心優しい彼に「処刑人家業の長男」
繊細な心を持ち、処刑人という職務に疑問をもち苦悩する。
やがて運命を受け入れ、サンソン家を自らの代で終わらせる覚悟を決めながら処刑人役に就き、フランスの処刑人の頭領である「ムッシュー・ド・パリ」と呼ばれる、
課せられた職務を全うする中で死刑制度の是非を見つめ続け、死刑執行に反対していたにも関わらず、約2700人とこの世で2番目に多くの首を撥ねた人物であり、かのルイ16世やマリー・アントワネットの処刑にもたずさわるなど、その生涯はすごく興味を惹く
マリー・ジョセフ・サンソン
ジョセフ・サンソンは主人公の妹
生来の嗜虐性と合わさって自ら処刑人になることを望む。ぶっ飛んだ女処刑人
サンソン家の主人公一家では母親や祖母以外で唯一の女性ですが、武勇は最強
形式的な結婚を経た一児の母でもあります。
アンヌ=マルト・デュビュ・サンソン
サンソン家の家長・バチストの母であり、シャルルやマリーの祖母。
当時の社会背景である「女は子を産んではじめてその家に貢献できる」
という意識が強く、処刑人を志望するマリーを厳しく折檻する。
「ラ・グンランドゥ・マルト」と呼ばれ、一族を率いる冷徹で豪胆な女として描かれる
ロベール-フランソワ・ダミアン
パリ郊外の貧しい農民。
貧乏人と国王の格差に絶望し、ルイ15世を刺し殺人未遂事件を起こした事で不敬罪に問われ、もっとも残酷とされる「八ツ裂き刑」に処されることになる。
ここに注目! 『イノサン』の見所を紹介
数ある見所の中でも注目してほしいポイントをピックアップしました。
18世紀フランスに実在した処刑人
『イノサン』は、フランス革命の時代ルイ16世やマリー・アントワネットなど、主要人物の処刑を手がけた実在の人物シャルル=アンリ・サンソンを描いた歴史モノです。
処刑という正義を成す死神の苦悩。1コマのディテールと世界観
時代考証はかなり丁寧に行われているようで、当時の習俗の描写も興味深い。
フランス革命期の実在した処刑人の物語というだけでも惹かれるものがあると思う。
実在した人物の話なので歴史のお勉強にも最適ですね。
死刑廃止を訴え続けていた悲劇の死刑執行
主人公は、処刑人の一族に生まれながらも処刑を廃止したい、教養人で死刑廃止論者
それでも周りに振り回されて3000人近くを処刑し、親友や知り合いを処刑していく、その中には、自分が若いころ付き合っていた女性までいたという…
その過程がひたすらに鬱…
細密な描き込みや処刑シーンに目を奪われるも、テーマは葛藤や革命、野心
感情を排除して処刑する兄、激情のまま貴族を排除したい妹の対比が、美しい
サンソン一家、処刑人なだけに家族全員狂っていて怖お
処刑が庶民の娯楽だったフランス革命時代
この時代、死刑執行は民衆に公開されており、残酷な処刑は重要な娯楽であった…
"国王殺害"を謀ったダミアン「八ツ裂きの刑」は、140年来のパリの大祭典となっている
処刑を娯楽として求め、「つまらぬ処刑」を見せた執行人に民衆が怒り狂い暴動が発生し執行人関係者に死者が出た事例にもつながっている。
フランス革命以前の思想は世襲ありきの考えに溺れ、それに伴う平民の怒りや、貴族階級の醜い欲望で世の中のうねりが浮き彫りになっていた事が分かります。
緻密な作画と耽美な表現
マンガなのに1ページづつ、ため息が出るような美学が通った構成。
もう描写がリアルで…吐きそうになる程処刑の詳細がわかりやすくエグい。
役者絵のような様式美の残酷シーン
美麗美麗アンド美麗な耽美で高度な絵によって描写されている。
それに尽きるし、その中の心理描写とかも見ててゾクゾクしてしまう。
題材が題材だけにグロい
歴史が生き返ったかと感じるような話と絵の緻密な描写に舌を巻く。
ただし、グロい。
特に3巻から続いている、ムッシュー・ダミアンの八つ裂きの刑は圧巻
八つ裂きというグロ描写を、あらゆる比喩表現で次々と繰り出す。
切の擬音がない凄まじい比喩表現に満ちた処刑シーンは独特で
一コマ一コマの超絶技巧的な絵の美しさで描写している。
唐突に下ネタ出たり、“ホモ”が入る。
とにかくグロくて美しくて変態多いので、人によっては読むのに気力がいる。
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まとめ▼
絵が緻密で美しく、表現が豊かで時代背景にめちゃくちゃフィットしてるのでグロいのが平気な人はおすすめ、運命に抗う姿は美しく舞台化もしている作品です。
グロ耐性がある方は是非手に取ってみて下さい。