感想/内容紹介『群青にサイレン』野球漫画の皮を被った思春期の男子高校生によるドロドロ漫画

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男子高校生の嫉妬や苦悩とかめっちゃドロドロの心情を描いた野球漫画『群青にサイレン』、キラキラ爽やかな野球漫画が多い中、スポーツは爽やかなだけじゃない、この漫画は、ドロドロしたものを突きつけられる作品です。

それでは『群青にサイレン』のあらすじに、登場人物、見所を僕の感想を添えて紹介していくので最後までお付き合い下さい。

 

 

 

『群青にサイレン』のあらすじ  

次に『群青にサイレン』の設定やあらすじについて紹介していきます。

 

作品尾概要▼

  • ジャンル:野球・青春
  • 作者:桃栗みかん
  • 出版社:集英社
  • 掲載誌:月刊YOU→少年ジャンプ+
  • 巻数:全12巻
あらすじ▼

修二と空はイトコ同士。かつて空のせいで野球をやめた修二は、高校の入学式で空と再会。体の小さな空を見て、「今なら勝てる」と思った修二は野球部に入部することに…。

「群青にサイレン」は、小さい頃野球を教えてあげた幼馴染にエースの座を奪われて、ふてくされ野球を辞めた主人公が、高校の野球部で幼馴染と再開し、野球をまた始めるという導入、主人公は投手から捕手への転向を命じられ、自分より優秀で嫌いながらも、幼馴染とバッテリーを組むことになり、幼馴染に居場所を奪われた主人公が、奪われたものを取り返そうとする青春ストーリーになっています。

 

 

心理描写が凄い『群青にサイレン』の主な登場人物

『群青にサイレン』では、嫉妬や葛藤、憧れなど、それを踏まえて少しずつ進んでいく登場人物たちが登場しているので、そんな彼ら一部ご紹介します。

 

吉沢 修二

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(出典:『群青にサイレン』)

「吉沢修二」、幼少期キャッチャーとして活躍した父と、バッテリー組むためにピッチャーを目指すが、小学生時代のトラウマから中学で野球から遠ざかってしまう。高校でトラウマの原因である従兄弟の吉沢空に再会し、彼への対抗心から野球部の門を叩く

とても精神不安定(周りに気を使って浮き沈みが激しい)でとても人間らしいキャラクター

 

吉沢 空

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(出典:『群青にサイレン』)

「吉沢 空」入試トップ、野球部エース。玄石高校入学理由が『吉沢修二が行くから』、身長は157cmとかなり小柄で華奢な体型をしている美男子、最初修二に嫌われてたけど、本人あんま気づいていない魔性の少年。 

 

角ケ谷 尚志

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(出典:『群青にサイレン』)

「角ケ谷 尚志」、眼鏡をかけていて人見知りな性格をしており、クールツンデレみたいな見た目なのにマジで性格が良い。中学生の時にクラスメイトだった吉沢修二と仲が良く、見れば見るほど吉沢のことを、本当に大事に思っているんだなというのが端々から伝わってくる。

 

ドロドロ『群青にサイレン』の見所について

熱血・努力・爽快……従来の野球漫画の概念を壊し続ける『群青にサイレン』には、これまでの野球漫画にはない見所がたくさんあります。そんな数ある見所の中からおすすめのポイント絞って紹介していきます。

 

訳ありな登場人物

こんなに屈折して嫉妬、憎悪している男子が主役の高校野球漫画は他になく、しかもちょっとやそっとじゃ全然和解しない、主人公2人ですら、まともに会話できるようになるまで時間がかかる、サブキャラも含め魅力的なキャラたちの野球をめぐる心理や因果を繊細に描いている漫画というのがこの漫画の何よりの特徴。

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(出典:『群青にサイレン』)

登場人物がそれぞれ重すぎる過去を背負っている人間臭いキャラばかり、過去や背景がしっかり描かれていて、様々なトラウマエピソードを披露してくれるので、あなたが実際に遭ったトラウマもきっとある

他の作品に比べてキャラがすごく人間してる。人間味が凄く、それぞれにストーリーがある

 

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緻密な心理描写

「群青にサイレン」は、野球漫画だが、野球の話より人物のメンタル面の方が中心、細かい人間関係の心理描写が緻密、裏切り、嫉妬、後悔、喧嘩もう本当に人間の綺麗さと汚さを美しく緻密な絵で表現している。

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(出典:『群青にサイレン』)

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(出典:『群青にサイレン』)

人が死なない進撃の巨人というほどに、何度も主人公が地獄に突き落とされては這い上がり、突き落とされまくる苦しみの連鎖に加え、ほぼ男しか出てこないのに本質は少女漫画的で、三角、四角関係へと拗れていて作者の細かく鋭い心理描写故の面白さがある。持たざる者が嫉妬や苦悩を煮詰めた感情に押しつぶされながら、思春期・ポジション争いの嫉妬や、こんな筈じゃない自分への苛立ちとか丁寧に描かれていて登場人物に感じ要してしまう。

野球に興味がない人でも読める。

 

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桃栗先生(いちご100%)の画力

「群青にサイレン」の作者は「いちご100%」の河下水希先生、作者特有の整った美形ぞろいのキャラが多いと、見分けがつかなくなる事態がおきるけど、群青にサイレンの少年達はみんな個性がありつつ綺麗に描かれている。

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(出典:『群青にサイレン』)

男だらけのいちご100%な側面と、 緻密な心理描写、圧倒的画力により表現される高校野球青春漫画の側面、読めば読むほど桃栗先生の美麗とマッチした作品の世界観に引き込まれると思います

 

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打ち切りなのが惜しい

アニメ化してほしいマンガランキング2019で3位を受賞した人気作でしたが、打ち切りに近い形で完結している、一応区切りはついてるけど、回収されない伏線が多数残ったまま、暗黒期抜けてここからじゃ⁉︎ ってところで終わってしまった。嫌な自分と対峙させられるけどいい漫画だからきっちり終わって欲しかったな

連載再会を願う署名運動も行われている。

 

所感

「群青にサイレン」を紹介しました。僕が読んできた野球モノの中で一番爽やかじゃない野球漫画…執着と嫉妬をはじめ殺しきれない負の感情をじっくりコトコト煮込んだ、思春期の苦々しい劣等感がリアルすぎて大人にこそ刺さる漫画でした、スカッとするような野球の試合場面のほぼない野球漫画なので、いわゆる従来のスポコン爽やか野球漫画に飽きた人は是非読んでみて下さい。